ステップファミリーで、障害のある子の親になるということ。——再婚を考えている人に、義父の立場から伝えたいこと

ステップファミリー 障害児の親になる

私は、重度の知的障害と自閉症がある子(愛の手帳A1)の義父です。妻とは学生時代の同級生で、子どもがいることも、障害があることも、再婚前から知っていました。何年か一緒に暮らしてから結婚し、いまは卒業後の進路や成年後見の準備を、妻と一緒に進めています。

「義父になって、いま何を感じているか」という気持ちの部分は、別の記事にまっすぐ書きました。
血のつながりはないけれど、家族になった。障害のある子の「義父」になって、いま思うこと

この記事はその先として、これからステップファミリー(再婚)で障害のある子の親になろうとしている人に向けた、もう少し現実的な——心構えと、手続き上の立場の話です。同じ立場の人がほとんど発信していない領域なので、我が家のケースが何かの参考になればと思います。


目次

「気負わなくていい」けれど、知っておいた方がいいこともある

最初に言いたいのは、別記事にも書いた通り、無理に「父親にならなきゃ」と気負わなくていいということです。血のつながりも、「お父さん」という呼び名も、最初から要りません。一緒に暮らして、お風呂に入って、笑い合う。その積み重ねの先に、家族の感覚は自然についてきます。

そのうえで、障害のある子の場合は、定型発達の子のステップファミリーとは少し違う、現実的に知っておいた方がいいことがいくつかあります。気負う必要はないけれど、知らないままだと配偶者を一人で背負わせてしまう。その「気負わない」と「知っておく」のバランスの話です。


私が「家族になっていった」順番

ひとつ、自分の実感として伝えたいのは、結婚という手続きより、ずっと前に家族になっていたということです。

我が家は、何年か一緒に暮らしてから結婚しました。だから子どもの中では、「結婚した新しい父親」が来たのではなく、もっと前から「家にいる仲間」として私が認識されていたのだと思います。うちの子は、損得や複雑な感情で人を値踏みすることがありません。一緒に暮らす相手を、ただ自然に受け入れてくれました。

呼び名も自然でした。「お父さん」と呼ばれたわけではありませんが、それで十分すぎるくらいでした。この「順番」——書類より先に、生活で家族になる——が、障害のある子のステップファミリーでは、かえって自然なのかもしれません(このあたりの気持ちは )。


1. 手続きの担い手が一人増える、という大きな意味

障害のある子の家庭は、手当・福祉サービス・医療・進路と、手続きの量がとにかく多いです。これまで配偶者(多くは母親)が一人で抱えてきた手続きを、担える大人がもう一人増える——ステップファミリーになることの、現実的にいちばん大きな意味は、ここだと感じています。

平日の窓口、学校の面談、事業所の見学。我が家の進路の事前面談にも、私は妻と並んで当たり前に同席しました。こうした場面に一緒に動けるだけで、家の重さは確実に変わります。「血のつながりがないから手を出しにくい」と引いてしまうより、手続きを半分担うことが、そのまま家族になっていくプロセスでした。

そして、ここは血縁も戸籍も関係なくできることです。情報を集める、窓口に付き添う、見学に行く、本人のケアを覚える——立場を問わず、今日から担えます。


2. 義父・継親の「法的な立場」は、事前に確認しておくと安心

ここは気持ちとは別の、現実的な話です。障害のある子の場合、成人後に成年後見など、法的な代理が必要になる場面が出てきます。このとき、血のつながりや戸籍上の関係が問われる手続きがあります。

たとえば成年後見の申立ては、本人・配偶者・一定の範囲の親族などができるとされています。義父(継親)が戸籍上どういう立場なのかによって、申立人になれるか、どこまで関われるかが変わることがあります。日々のケアや付き添いは誰でもできても、法的な代理の場面では「実親(配偶者)が担う部分」と「自分が関われる部分」が分かれる——ここを知らないまま進むと、いざというとき戸惑います。

我が家も、何ができて何は妻が担うのかを、義理の叔母(行政書士)に相談しながら整理しました。
障害のある子が18歳になる日、親の代理権は消える。「成年後見」を選ぶまで

※養子縁組をするかどうかは、相続や扶養、後見の申立人資格にも関わる大きな選択で、家族の形は人それぞれです。「こうすべき」という話ではなく、自分たちのケースで何ができるか・何が変わるかを、早めに専門家に確認しておくとよい、ということです。


再婚を考えている人へ、確認しておくとよいこと

これから障害のある子のいる人と家族になろうとしているなら、覚悟を決める前に、肩の力を抜いたまま、次のことだけ知っておくと動きやすいと思います。

  • 子の障害の状況と手帳の等級:何ができて、何に介助が要るのか。日々の生活の見取り図
  • いまの手続きを、誰がどれだけ担っているか:配偶者が一人で抱えていないか。半分引き受けられる部分はどこか
  • 18歳・20歳の制度の節目:成年後見や障害基礎年金など、近い将来に控える手続き
  • 自分の法的な立場で、何ができて何は実親が担うのか:成年後見の申立人資格など
  • 「親なき後」を夫婦で話せているか:きょうだいがいない家庭なら特に、早い段階で

どれも「結婚の条件」ではありません。知っておくと、配偶者を一人にしないで済む、というだけの話です。


周囲で、いちばん大事にしていること

「再婚で、しかも障害のある子の親になることに、周りの目は気にならないか」と聞かれることがあります。周囲の目は、あまり気にしていません。

ただ一つだけ、いつも気にかけているのは、配偶者の両親を不安にさせないことです。大事な娘と孫を任せて大丈夫なのか——そう思うのは当たり前なので、そこだけは心の片隅に置いています。これは障害のあるなしに関わらず、ステップファミリーに共通する部分かもしれません。


合理で考えたら、結婚なんてできない

最後に、根っこのことを書きます。私は結婚前に、このことを深く考え込んだわけではありませんでした。好きになった人の子どもが、たまたま障害を持っていた——それだけのことだと思っています。私自身、過去に一度、結婚と離婚を経験しているので、結婚は損得勘定でするものじゃない、という実感もあります。

そもそも、合理だけで考えていたら、結婚なんてできない。だからこれから障害のある子の親になる人にも、「覚悟を決めて」とは言いません。まずは家族として当たり前に大事にする。手続きは半分担う。法的な立場だけは早めに確認しておく。 それくらいの構えで、十分に始められると思っています。


まとめ

  • ステップファミリーで障害のある子の親になるとき、無理に「父親にならなきゃ」と気負わなくていい(気持ちの話は )
  • 私の実感では、書類より先に、生活で家族になっていく。順番はそれでいい
  • 現実的にいちばん大きいのは、手続きを担う大人が一人増えること。これは血縁・戸籍を問わず今日からできる
  • ただし成年後見など、義父・継親の法的な立場が問われる場面がある。何ができるかを早めに専門家に確認
  • 周囲では、配偶者の両親を不安にさせないことだけは大事にしている

血のつながりも呼び名も、最初から要りません。一緒に暮らして、手続きを半分担って、笑い合う。その積み重ねの先に、家族はついてきます。


この記事について

  • この記事は2026年時点の、私個人の体験と気持ちの記録です。最終更新日:2026年6月29日。手続き・制度は年度・自治体・個々の事情で変わります。
  • 家族や周囲が特定される情報はぼかして書いています。制度や手続きについては、身近に行政書士(義理の叔母)がいて相談できる環境で書いていますが、私自身は専門家ではありません。法的な判断は、専門家や行政窓口にご相談ください。
  • 書き手のプロフィールはこちら → /about/

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この記事を書いた人

重度知的障害・自閉症(愛の手帳A1)の子の義父。再婚で15歳から保護者になり、いま「18歳の壁」——成年後見の申立・生活介護への移行・障害年金の準備を、当事者としてリアルタイムで記録しています。身近に行政書士(義理の叔母)がいて制度を確認しながら執筆。私自身は専門家ではありません。横浜市在住。詳しいプロフィール → https://kazolog.com/about/

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