障害のある子が18歳になる日、親の代理権は消える。——我が家が「成年後見」を選ぶまでに迷ったこと

18歳で代理権が消える_成年後見を選ぶまで

【追記 2026年7月】この記事のあと行政書士に相談し、我が家は成年後見の申立てをいったん延期する判断をしました。2026年6月に成立した民法改正(後見制度の見直し)の施行を見てから再検討します。経緯はこちら → 行政書士に見てもらったら、計画が4つひっくり返った話

「障害のある子が18歳になると、親はもう代理人ではなくなる」——この事実を、私は最初、うまく飲み込めませんでした。

ずっと親が当たり前のようにやってきた契約や手続きが、子が成人した瞬間、法律上は「親の権限ではない」ことになる。重度の知的障害があって、自分で契約の判断ができない子でも、です。

うちの子は重度の知的障害と自閉症、愛の手帳A1(最重度)。今年(2026年)の秋に18歳になります。だから我が家にとって、成年後見は「いつかの話」ではなく、もう目の前の話です。

今日は、その成年後見について——まだ申立てをしていない、準備段階のいまの正直な気持ちを記録します。やってみた報告ではありません。「なぜ選ぶのか」「何に迷っているのか」の記録です。実際に申し立てたら、その都度この記事を更新していきます。


目次

まず:18歳で「親の代理権」が消えるとはどういうことか

これまで、子どもに関する契約や手続きは、親が「親権者」として当たり前にやってきました。福祉サービスの契約、お金の管理、いろいろな書類のサイン。

ところが、子が18歳で成人すると、親権は終わります。 成人した本人の財産や契約は、原則「本人」が自分で決めるもの、という建前になる。

でも、うちの子は自分で契約内容を判断することができません。判断できない本人に代わって、誰かが法的に代理する仕組みが必要になる——それが成年後見制度だ、と理解しました。

具体的に、どんな場面で必要になるのか。我が家で「これは出てくるな」と思っているのは、こういうことです。

  • 卒業後に通う生活介護事業所などとの契約・更新
  • 子ども名義の預金や、もらった手当・年金の管理
  • 将来の入院や施設入所に関する手続き

つまり、この子の人生に関わる法的な手続きを、一生、誰かが代わってやり続ける。そのための制度なのだと、調べていくうちに分かってきました。


我が家のスケジュール:18歳になってすぐ、横浜家庭裁判所へ

成年後見の申立ては、本人が18歳(成人)になってからでないとできません。だから我が家は、

18歳の誕生日(2026年秋)を迎えたら、できるだけ早く、横浜家庭裁判所に後見開始の申立てをする

というスケジュールで考えています。

申立てをして、家庭裁判所の審理(調査官の面談や、医師の診断書・場合によっては鑑定)を経て、後見人が決まる。ここまでに数か月かかることもあると聞いています。

だから、「18歳になってから動き始める」では遅いと感じて、いま(18歳の少し前)から、必要書類や流れを義理の叔母(行政書士)に相談しながら準備しているところです。


後見・保佐・補助、どれになるのか

成年後見制度には、本人の判断能力の程度に応じて3つの類型があります。

  • 後見:判断能力が欠けているのが通常の状態の人に
  • 保佐:判断能力が著しく不十分な人に
  • 補助:判断能力が不十分な人に

うちの子のように最重度で、自分で契約の判断ができない場合、現実的には「後見」になると理解しています(最終的に判断するのは家庭裁判所です)。

ここで一度、立ち止まりました。後見が付くと、本人の財産に関わる広い範囲を後見人が代理することになる。それは本人を守るための制度であると同時に、本人ができることの範囲に法的な線が引かれるということでもある。子の人生に関わる重い話なのだと、改めて感じました。


一番迷ったこと:「誰が後見人になるか」

準備の中で一番迷っているのは、ここです。

後見人には、親などの親族がなる場合と、弁護士や司法書士などの専門職がつく場合があります。最近は、財産の状況などによって専門職が選ばれることも多いと聞きます(誰を選ぶかを決めるのも家庭裁判所です)。

それぞれに、こう感じています。

  • 親が後見人になるなら、子のことを一番分かっている自分たちで支えられる。ただ、後見は本人が亡くなるまで原則続く。私たち親も歳をとる。「その先」をどうするのか、という問いが必ず残る。
  • 専門職に頼むなら、専門家として続けてもらえる安心はある。一方で、継続的に報酬が発生すること、そして「子のことを一番分かっているわけではない第三者に、お金や手続きの判断を委ねる」ことへの、親としての複雑な気持ちもある。

どちらが正解、という話ではないのだと思います。ただ、「一度決めたら、簡単には後戻りできない」こと——この不可逆さが、手続きの煩雑さ以上に、気持ちにずっしりきています。


お金と手間のリアル(準備時点で分かっている範囲)

費用や必要書類は、家庭裁判所や個々の事情で変わります。確定額・最新の情報は必ず家庭裁判所の窓口でご確認ください。そのうえで、準備段階のいま把握している「だいたいの目安」を書きます。

  • 申立ての手数料(収入印紙)や登記の費用:合わせて数千円程度
  • 連絡用の郵便切手:数千円程度
  • 医師の診断書:本人の状態を医師に書いてもらう。費用は医療機関による
  • 場合によっては「鑑定」:家庭裁判所が必要と判断したとき。十万円単位の費用がかかることもあると聞いています
  • そのほか、戸籍・住民票などの書類

加えて、専門職が後見人になった場合は、その後ずっと報酬が発生します。「申立てのとき」だけでなく、「その後ずっと」のお金も見ておかないといけない——これが、調べてみて一番リアルだった点です。


お金・時間・気持ちの話(前の記事と、つながること)

手当の記事でも書いたのですが、障害のある子を支えていくのに必要なのは、「お金」「時間」「気持ち」の3つだと、私は思っています。

成年後見は、まさにこの3つ全部に関わってきます。

  • お金:申立費用、診断書、(場合により)鑑定、そして専門職なら継続報酬
  • 時間:書類集め、家庭裁判所とのやりとり、面談。これも平日に動く場面が出てくる
  • 気持ち:「親の代理権が消える」ことへの不安と、「誰に、一生、子を託すのか」という重さ

お金や手間以上に、「気持ち」の部分が大きい手続きだというのが、準備をしてみての実感です。子が成人することは喜ばしいことのはずなのに、制度の上では「親が代理できなくなる日」でもある。そのねじれを、どう受け止めるか。いまもまだ、整理しきれていません。


まとめ

  • 障害のある子が18歳で成人すると、親の代理権(親権)は終わる。判断が難しい子には、代わって法的に代理する成年後見が必要になる
  • 申立ては本人が成人してから。審理に数か月かかることもあるので、早めの準備が要る
  • 最重度の場合、現実的には「後見」になりやすい
  • 一番迷うのは「誰が後見人になるか」(親か専門職か)。そして原則、後戻りできないこと
  • 費用は申立てだけでなく、専門職なら“その後ずっと”の報酬も見ておく
  • お金・時間以上に、「気持ち」の重い手続き

我が家はまだ、申立ての一歩手前にいます。実際に横浜家庭裁判所に申し立てて、後見人が決まったら、そのリアルをまたこの記録に追記します。


この記事について

  • この記事は2026年時点・申立ての準備段階での、我が家の記録です。最終更新日:2026年6月21日。手続き・費用・必要書類は、年度・家庭裁判所・個々の事情で変わります。最新・正確な情報は、家庭裁判所の窓口や公式サイトで必ずご確認ください。
  • 家族が特定される情報はぼかして書いています。制度や手続きについては、身近に行政書士(義理の叔母)がいて相談できる環境で書いていますが、私自身は専門家ではありません。具体的な判断は、家庭裁判所や専門家にご相談ください。
  • 書き手のプロフィールはこちら → /about/

【参考リンク(公的機関)】
横浜家庭裁判所「成年後見制度(後見・保佐・補助)」
裁判所「後見開始」
法務省「成年後見制度・成年後見登記制度」
– お住まいの地域の家庭裁判所の窓口でも、申立ての手引きや書式を確認できます。

「18歳の壁」で、いつ・何をするのか。手当・年金・成年後見・進路を時系列でまとめた実務編はこちら。
障害のある子の「18歳の壁」。手当・年金・成年後見・進路を時系列で全部書き出した

手当の「実額」と所得制限のリアルについては、こちらにまとめています。
障害のある子の手当、我が家が「もらえたもの・もらえなかったもの」

後見の準備と並んで迷った「実印・印鑑登録」は、我が家は急がない判断にしました。行政書士に確認した経緯です。
「18歳までに印鑑登録」は急がなくていい——実印を後回しにした理由

本人を知らない人にも引き継げるよう、子どもの「取扱説明書(サポートブック)」も作りました。親なき後や緊急時の備えとして。
障害のある子の「取扱説明書(サポートブック)」を作ってみた

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この記事を書いた人

重度知的障害・自閉症(愛の手帳A1)の子の義父。再婚で15歳から保護者になり、いま「18歳の壁」——成年後見の申立・生活介護への移行・障害年金の準備を、当事者としてリアルタイムで記録しています。身近に行政書士(義理の叔母)がいて制度を確認しながら執筆。私自身は専門家ではありません。横浜市在住。詳しいプロフィール → https://kazolog.com/about/

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