卒業後の「第一志望」へ、生活介護の実習に5日間。親が一番恐れていたことと、救われた言葉

卒業後の第一志望へ_生活介護の実習5日間

今週、子どもが生活介護施設の実習に通いました。月曜から金曜までの5日間。卒業後の「日中の行き先」を決めるための実習です。

うちの子は重度の知的障害と自閉症、愛の手帳A1(最重度)。横浜市の支援学校の高校3年生で、来年の春に卒業します。卒業したら、日中をどこで過ごすのか——それを決める、大事な5日間でした。

以前、この実習の事前面談で、施設の方が何度も「頑張りすぎなくていい」と言ってくれた話を書きました(→ 記事の最後にリンクを載せています)。あのときの実習が、今週いよいよ本番を迎えました。終えてみて感じたことを、そのまま書きます。


目次

朝はニコニコ。でも、送り出す親の中には不安がある

朝、子どもは比較的楽しそうに、ニコニコしながら実習へ向かっていきます。嫌がる様子はありません。実習中は、親が送迎をしています(10時〜16時)。

その姿を見られるのは、本当にありがたいことです。ただ、笑顔で送り出しながら、親の私の中には、いくつもの不安が同時にありました。

  • 卒業後、ここに通わせてもらえるのだろうか
  • そもそも、この子に、ここが合うのだろうか
  • もっと手前の話として、今日1日、無事に過ごせるのだろうか

そして、この不安の根っこには、進路探しそのものの大変さがあります。卒業後の行き先を探すのは、簡単ではありません。「この子に合うところがあるのか」「受け入れてくれるところがあるのか」——この2つが、ずっと心の底にあります。


「第一志望」に賭ける、ということ

今回の実習先は、我が家の第一志望です。

ここで一つ、知らない方に伝えておきたいことがあります。我が家のやり方は、複数の施設を同時に見比べて選ぶ、というものではありません。

第一志望にまず実習に行く。そこで結果が出て、もしダメだったら、次の施設へまた実習に行く。

——という、いわば「一つずつ」のかたちです。

だから、この実習は「いくつかある候補の一つ」ではなく、いまの本命に挑んでいる5日間です。ここで「難しい」となれば、また一から次を探して、また実習に行く。そう考えると、笑顔で送り出しながらも、親としては祈るような気持ちになります。


月火水は先生が一緒。木金が「本当の実習」

この5日間は、前半と後半で意味が違います。

  • 月・火・水:支援学校の担任の先生が一緒に帯同してくれます。だから、比較的安心して見ていられました。
  • 木・金:親も、学校の先生もいません。子ども一人で、施設の中で過ごす。これが「本当の意味での実習」です。

先生という”お守り”がいない、ぶっつけの後半2日間。正直、ここが一番ドキドキしました。


前半(月〜水)の、子どもの様子

前半は、とても良い形で過ごせました。

  • 機嫌が悪くなったり、崩れてしまったりすることは、特にありませんでした
  • 実習先の軽作業も、上手にできて、理解も早いと、スタッフの方からコメントをもらえました
  • スタッフさんが「上手だね、ありがとう」と声をかけてくれると、本人は嬉しそうにしていたそうです

軽作業というのは、たとえばこんな内容です。

  • 商品パッケージの端っこにシールを貼る作業
  • 廃棄する期限切れの手帳を分解する作業(ビニールカバーと中の紙を分けて、分別して捨てられるようにする)

このあたりが、その施設のレギュラーの作業のようです。どちらも、上手にできていたと聞きました。親としては、それだけで胸がいっぱいになります。

ひとつだけ、慣れない場所での緊張はあったのだと思います。夜は、すぐに寝ました。 それ以外は、帰宅後にいつもと違う様子もなく、食事も睡眠も崩れていない。まだ3日だけなので分かりませんが、そこは一安心かな、と思っています。

そして、嫌がらずに通えていること自体に、少しの成長を感じています。


水曜の見学と、救われた一言

水曜の午前中、妻と二人で、施設を見学させてもらいました。

子どもは、本人なりのペースで作業しながら過ごしていました。施設にはいろいろな方がいましたが、その中でも、作業自体は比較的できているほうかな、という印象でした。ただ、集中して続けることは苦手なので、自分のペースで休憩をはさみながら、という感じです。

スタッフさんは、女性の方が多く、40代以上のベテランに見える方が中心。だからか、皆さんテキパキと対応されていて、安心できる環境に見えました。

見学のとき、私はスタッフさんに、こう伝えました。

「月火水は崩れずに過ごせましたが、今日からの後半2日は、疲れも出て、崩れてしまうかもしれません」

——これは、私の中にあった恐れでした。崩れて、ぐずって、何かが気になって暴れてしまう。そんな姿を見せてしまったら、入所を断られてしまうのではないか。第一志望なのに、そこでダメになってしまうのではないか。そういう類の、親としての怖さです。

でも、スタッフさんの返事は、私の予想とまったく違いました。

「崩れるところも、見せてもらったほうが、むしろこの子のことをよく知れるので、そうなってもらっても全然問題ないですよ」

「そのほうが、本当の意味で”通所したら”を想定できるので」

——この言葉に、正直、かなり安心しました。そして、少し感動しました。

崩れる姿を「見せてはいけないもの」だと、勝手に身構えていた自分がいました。でもこの施設の人は、崩れる姿すら「この子を知るための大事な情報」として、まっすぐ受け止めようとしてくれている。事前面談で「頑張りすぎなくていい」と言ってくれた、あの姿勢と、地続きの言葉でした。


後半(木・金)。「崩れてもいい」と言われて迎えた、本当の実習

親も学校の先生もつかない、ぶっつけの後半2日間。ここが一番ドキドキしていました。

ふたを開けてみると、本人は大きく崩れることなく過ごせました。

  • 集団の輪の中で、周りが賑やかでも、誰かの大きな声がしても、影響を受けずにいられた
  • 木曜には太鼓のプログラムがあり、初めてなのに楽しそうに参加できた(音や振動が苦手な子もいる中で、本人は太鼓が好きで、乗り切れたようです)

ただ、最終日には、トイレの失敗がありました。

家ではあまり失敗しません。疲れと緊張、それに当日の蒸し暑さも重なったのだと思います。1時間に1回の生活が続いていて、膀胱がうまく鍛えられていない、という話も出ました。

でも施設の方は、事前面談や水曜のあの言葉のまま、失敗を責めませんでした。「できたことを、たくさん見てあげましょう」と言ってくれました。学校の先生も記録を取ってくれていて、これから一緒に原因を探っていく、という姿勢でした。

「崩れるところも見せてほしい」と言ってくれていた通り、失敗まで含めて、まっすぐ受け止めてもらえた2日間でした。


5日間を終えての振り返り面談で、施設がくれた言葉

最終日の夕方、学校の先生・施設のスタッフさん・私たち夫婦・本人で、振り返りの面談をしました。

作業(手帳の解体・シール貼り)については、こう言ってもらえました。

「もう何も言うことはないです。素晴らしい」

そして、一番評価してくれたのは、綺麗さや早さではありませんでした。

「言われたことを理解して、行動に移せること。いかに綺麗に・早くではなく、話を聞いて行動に移せるかが一番大事なんです。そこをちゃんと持っている」

爪噛みが気になって仕方がない朝も、「やろっか」と促されると、気持ちを切り替えて作業に戻れていました。そのことについても、

「折り合いをつけられるのは、とてもすごいことなんです」

と言ってくれました。短所のように見えるところを、ひとつずつ、できていることとして拾い上げてくれました。

施設の方の根っこにある考え方も、印象に残っています。

「作業は、良い行動を引き出すための道具です。悪い行動をダメと止めるのではなく、良い行動を引き出して、快や自信を感じてもらう。そうやって、悪い行動が起きない時間を伸ばしていくんです」


食事の「別メニュー対応」に、正直びっくりした

うちの子は、苦手なもの(その日は梅肉やナス)は弾きますが、それ以外はしっかり食べます。「嫌いなものは嫌い、食べられるものは食べる」と、自分で意思表示ができる。そこを施設は評価してくれました。

そのうえで、施設は苦手な食材を別皿・別メニューで対応してくれるとのこと。これは正直、私も妻もびっくりして、そして安心しました。「今まで聞いたことがない」と、思わず口に出たほどです。

もちろん、毎食すべてを変えてもらえるわけではありません。「施設がどこまで対応するか」と「本人にどこまで頑張ってもらうか」のすり合わせが前提です。無理に「食べてみて」と勧めるのはストレスになるから避ける、という考え方も、納得のいくものでした。


「人好き」は、強み

人懐っこくて、職員さんに褒められると嬉しそうにする。人との距離が近くなりすぎることもあって、そこは私たちが気にしている点でもあります。でも施設の方は、こう言ってくれました。

「人好きは強みです。人が嫌いだと、支援を拒否することにつながってしまう。人好きだから『じゃあやろうか』となる」

短所だと思っていたところを、強みとして見てくれる。この5日間、ずっとそういう目線でした。


第一志望としての手応えと、次のステップ

合否という意味では、まだ正式に確定したわけではありません。ただ、面談を終えて家に帰る車の中で、妻とこんな話をしました。

「この施設の人は、たった5日で、この子のことをここまで分かってくれた」

環境と支援があってこそ、本人も安心してやり切れたんだと思います。人生で初めての実習を、5日間やり遂げられました。第一志望に賭けてよかったと、今は素直に感じています。

次のステップは、来週、学校からお礼状を持って訪問し、次週以降の様子も共有してもらう予定です。ここで得た自信を、これからの学校生活や進路につなげていけたら、と思っています。


まとめ

  • 卒業後の生活介護を決めるための実習は、我が家では第一志望に一つずつ挑むかたち。だから1回1回が大きい
  • 月火水は担任が帯同、木金は子ども一人の本当の実習。後半も大きく崩れずに過ごせた
  • 軽作業(シール貼り・手帳の分解分別)は上手にでき、施設から「もう何も言うことはない」と評価。一番は「話を聞いて行動に移せる」ことを認めてもらえた
  • 最終日にトイレの失敗はあったが、施設は責めず「できたことを見てあげましょう」と言ってくれた。「崩れる姿も見せてほしい」の言葉どおりに受け止めてもらえた
  • 苦手な食材は別皿・別メニューで対応してくれるとのことで、安心。「人好きは強み」と短所まで強みに変えて見てくれた
  • 合否はまだ確定ではないが、第一志望に賭けてよかったと今は感じている。来週、学校からお礼状を持って訪問予定

この記事について

  • この記事は2026年時点・5日間の実習を終えて書いた、我が家の記録です。最終更新日:2026年6月26日。
  • 施設名など、特定につながる情報はぼかしています。制度や手続きについては、身近に行政書士(義理の叔母)がいて相談できる環境で書いていますが、私自身は専門家ではありません。
  • 書き手のプロフィールはこちら → /about/

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【参考リンク(公的機関)】

  • 横浜市「障害福祉のサービス・手当」
  • 生活介護などの福祉サービスの利用や受給者証については、お住まいの市区町村(横浜市の場合は区役所の福祉保健センター)の窓口でご確認ください。

生活介護の体験実習って、何をするの?持ち物・準備・1日の流れを、実際にやってみてまとめました

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この記事を書いた人

重度知的障害・自閉症(愛の手帳A1)の子の義父。再婚で15歳から保護者になり、いま「18歳の壁」——成年後見の申立・生活介護への移行・障害年金の準備を、当事者としてリアルタイムで記録しています。身近に行政書士(義理の叔母)がいて制度を確認しながら執筆。私自身は専門家ではありません。横浜市在住。詳しいプロフィール → https://kazolog.com/about/

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