障害のある子の父親が、まずやること・できること5つ。——母親に一人で背負わせないために

障害児の父親がまずやること5つ

私は、重度の知的障害と自閉症がある子(愛の手帳A1・最重度)の父親です。ただ、血のつながった父ではなく、再婚で家族になった義父です。だから「生まれたときから手続きをやってきた」わけではありません。子がもう大きくなってから、妻と一緒に手続きに関わるようになりました。

その立場だからこそ、逆に見えたことがあります。障害のある子の手続きは、放っておくと母親(多くの場合)に全部のしかかる。 父親が「何をすればいいか分からない」まま立っているうちに、結果として母親が一人で抱え込んでしまう。我が家の手当の手続きも、もともとは妻が一人で担っていて、私はどれをいつ申請したのかも把握できていませんでした。

その反省も込めて、父親としてまず押さえたい5つを挙げます。特別なスキルは要りません。順番にやれば、家全体の負担はかなり変わります。


目次

1. 子の障害の状況と「手帳の等級」を、父親自身が正確に把握する

意外と、ここが抜けます。手帳の種類(療育手帳=地域により愛の手帳など)、等級(うちはA1=最重度)、身体・知的・精神のどれに当たるのか。何が自分でできて、何に介助が要るのか。母親は当然のように分かっているけれど、父親はふんわりとしか把握していない——これが、家の中の負担の偏りの出発点だと感じました。

私自身、最初は「重い障害がある」という以上のことを、正確には説明できませんでした。でも、手当も福祉サービスも、ほとんどが「手帳の等級」を起点に決まります。父親がここを正確に分かっているだけで、窓口の話も、夫婦の相談も、一気にかみ合うようになります。まずは手帳を一度自分の目で見て、等級と判定内容を確認するところからでした。


2. 使える手当・医療費助成を知り、窓口で確認する

障害のある子には、手当・医療費助成・割引や減免など、いくつもの支援があります。我が家(横浜市・愛の手帳A1)で実際に関わったものだけでも、これだけありました。

  • 特別児童扶養手当(いちばん大きい。1級は月5万円台)……所得制限あり。我が家は共働きでもらえませんでした
  • 障害児福祉手当(月1万5千円ほど)……受給中
  • 重度障害者医療費助成(マル障)……横浜市は所得制限なし。医療費が無料で、これは本当に助かっています
  • 各種の割引・減免……税の障害者控除(年末調整・確定申告で申告)、鉄道・バス・タクシーの運賃割引、NHK受信料の減免、携帯電話会社の障害者向け割引、公共施設の入場料減免など

ポイントは2つあります。ひとつは、「もらえるはず」と思い込まず、一つひとつ窓口で対象を確認すること。所得制限で「もらえないもの」もあります。もうひとつは、どれがどの手当か分からなくなりやすいこと。申請先も振込時期も、通帳に出る名義もバラバラで、毎年の更新(現況届)が要るものと要らないものが混在します。我が家は一度きちんと一覧にしてから、ようやく管理できるようになりました。手当の実額と所得制限のリアルは、別記事に詳しく書いています。
障害のある子の手当、我が家が「もらえたもの・もらえなかったもの」
特別児童扶養手当を、共働きで「もらえなかった」話

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3. 福祉サービスの「受給者証・契約」まわりを押さえる

放課後等デイサービスや、卒業後に通う生活介護などの福祉サービスは、市区町村が出す受給者証をもとに、事業所と契約して使います。そして、この受給者証には毎年の更新があり、利用計画の見直しや書類のやりとりも発生します。

これらの手続きは、平日の日中に区役所や事業所と動く場面が多い。共働きだと、ここがそのまま「平日に動ける人=母親」に偏りがちです。だからこそ、父親が担える部分がある。 「平日は母親が全部やる」という前提を一度見直して、受給者証の更新や事業所との連絡を父親側に振り分けるだけで、家の負担配分はかなり変わります。私も、ここは意識して引き受けるようにしました。


4. 18歳・20歳の「制度の節目」を、早めに知っておく

障害のある子には、年齢で制度が大きく切り替わる節目があります。

  • 18歳:成人すると親の代理権(親権)が終わります。判断が難しい子には、代わって法的に代理する成年後見が必要になります。申立ては本人が18歳になってからで、審理に数か月かかることもあります
  • 20歳:子ども向けの特別児童扶養手当が切れ、本人の障害基礎年金への切り替えを考える時期になります。年金は親の所得に縛られないので、所得制限で手当をもらえなかった家庭には大きな転換点です

どちらも、「その歳になってから」では動きが間に合わないことがあります。我が家も、18歳の誕生日(2026年秋)を前に、成年後見の準備を義理の叔母(行政書士)に相談しながら進めています。父親が早めに全体像を把握しておくと、母親と一緒に前倒しで動けます。時系列の全体像はこちらにまとめました。
障害のある子の「18歳の壁」。手当・年金・成年後見・進路を時系列で全部書き出した
障害のある子が18歳になる日、親の代理権は消える。「成年後見」を選ぶまで


5. いちばん大事:配偶者を一人で背負わせない

5つ目は、手続きそのものではありません。でも、私はこれが一番大事だと思っています。

平日の窓口や、学校の面談、事業所の見学に、父親も一緒に行く。 これだけで、母親が「全部を一人で背負っている」という感覚は、確実に減ります。

うちの子の進路を決める事前面談には、本人・私と妻・学校の進路担当・担任・施設の担当者と、大人が何人も集まりました。私も当然のようにそこにいました。義父の私が最初に抱えていた「自分が出ていっていいのか」という迷いは、こういう場に妻と並んで座るうちに、いつのまにか消えていました。学校や進路の話を妻と重ねていくうちに、「これは二人でやることだ」と自然に思えるようになった。手続きを半分担うことが、そのまま「父親になっていく」プロセスでもあったように思います。

お金の支援が所得制限で外れることもあります。それでも、障害のある子を支えるのに必要なのは、お金だけではありません。「お金」「時間」「気持ち」の3つだと、私は思っています。このうち「時間」と「気持ち」は、父親が手続きを半分担うだけで、母親のぶんに余白が生まれます。


父親がやりがちな、もったいない関わり方

最後に、自分への戒めも込めて。父親がつまずきやすいのは、こんなところでした。

  • 「自分は仕事だから」で全部任せてしまう:平日に動けないなら、書類の整理・情報収集・週末の見学など、できることはある
  • 制度を母親に「聞く」だけで終わる:聞くより、一度自分で窓口や公式サイトを当たると、当事者意識がまるで変わる
  • 完璧を目指して動けなくなる:全部を一度に把握しようとしなくていい。手帳の等級を確認する、ここからで十分でした

まとめ

  • ①手帳の等級と子の状況を、父親自身が正確に把握する
  • ②使える手当・医療費助成を知り、窓口で確認する(もらえないものもある/管理は一覧化)
  • ③福祉サービスの受給者証・契約・毎年の更新を押さえる
  • ④18歳(成年後見)・20歳(年金切替)の節目を早めに知る
  • ⑤平日の窓口・面談・見学に父親も行き、配偶者を一人にしない

手続きは煩雑ですが、父親が半分担うだけで、家全体の重さがずいぶん変わります。正確な制度・対象は、必ず各窓口でご確認ください。


この記事について

  • この記事は2026年時点の、我が家の記録です。最終更新日:2026年6月29日。手続き・手当・制度は年度・自治体で変わります。最新・正確な情報は各窓口や公式サイトで必ずご確認ください。
  • 家族が特定される情報はぼかして書いています。制度や手続きについては、身近に行政書士(義理の叔母)がいて相談できる環境で書いていますが、私自身は専門家ではありません。
  • 書き手のプロフィールはこちら → /about/

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この記事を書いた人

重度知的障害・自閉症(愛の手帳A1)の子の義父。再婚で15歳から保護者になり、いま「18歳の壁」——成年後見の申立・生活介護への移行・障害年金の準備を、当事者としてリアルタイムで記録しています。身近に行政書士(義理の叔母)がいて制度を確認しながら執筆。私自身は専門家ではありません。横浜市在住。詳しいプロフィール → https://kazolog.com/about/

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