生活介護に「内定通知」はない。特別支援学校卒業後の通所先が決まる仕組み——第一希望を伝えられるのは11月、と面談で知りました

生活介護に内定通知はない。特別支援学校卒業後の通所先が決まる仕組み(横浜市・11月解禁)

うちの子は重度の知的障害と自閉症、愛の手帳A1(最重度)。横浜市の特別支援学校の高等部3年生で、卒業後の進路は生活介護を中心に動いています。

2026年7月15日、学校で進路面談がありました。6月に第一志望の生活介護事業所で行った5日間の実習(前期実習)の振り返りです。この日、事業所が書いてくれた「現場実習評価票」のコピーを受け取りました。

評価は、親の欲目を抜きにしても良いものでした。ただ、この面談でいちばん心に残ったのは評価そのものではなく、先生から聞いた「ここから通所先が決まるまでの仕組み」の話です。いい実習をしても、それで決まりではない。第一希望を伝えられるのは11月。決定は年明けにずれ込むこともある。

同じように「実習は終わったけど、この先どうやって決まるの?」というご家庭は多いはずです。我が家が面談で聞けた範囲での、横浜市の決まり方です。


目次

実習の「評価票」は、こう返ってきた

まず前提として、実習が終わると事業所から学校へ、評価票が返ってきます。うちの学校の書式は15項目を S〜D の5段階で評価するもので、項目は大きく3つに分かれていました。

  • 勤務について:出勤の状況、身だしなみ
  • 仕事について:取り組み、持続力、能率、正確さ、仕事の理解、道具の使い方、安全、準備・後片付け
  • 対人関係について:挨拶・返事、明るさ、職場の人との関わり、ことば使い、休憩時間の過ごし方

うちの子の場合、対人関係の項目はすべてA評価でした。「遅刻・早退なし」「どの仕事も前向きに取り組む」「理解が早い」「確実で丁寧」にも◯。総合評価は「この職場で仕事をする上で必要な能力を持っている」、困った行動は「ない」でした。

いっぽうで課題もはっきり書かれていました。持続力は「やや飽きやすい」でC評価。手書きのコメント欄には、こうありました。

作業能力はとても高いです。1度伝えるだけで覚えることが出来ました。しかし持続力に欠けている点がとてもざんねんで(略)。こだわりの強さを作業などにどんな活用出来るといいですね。

進路担当の先生いわく、持続力のCは「週の後半に疲れが見えた」ためで、初めての実習なら想定内とのこと。準備・後片付けのB評価も、事業所の担当の方が「いきなり来て、どこに何があるか分からない中でできないのは当然」と悩みながら付けたもので、評価上の問題ではないと言ってもらえたそうです。

先生の総括は「保護者向けのお世辞抜きで、よく頑張ったの一言です」。5日間の実習の中身は、別の記事に詳しく書いています。
生活介護の実習5日間、内容と様子


「採用基準はあるんですか」と聞いていた、その答え

実は3月の面談で、私は先生に「評価基準・採用基準ってあるんですか?」と質問していました。今回の面談で、先生が「今だからこそ言える」と答えてくれました。

「その事業所で受け入れられるかどうかが、全ての評価基準です」

つまり、ペーパーテストのような点数の線引きがあるわけではなく、実習を通して「この方をうちで受け入れられるか」を事業所が見る。それが基準のすべて、ということです。

そして重要な補足がありました。受け入れが厳しい場合、事業所は実習の時点ではっきり「基準に満たない」と伝えてくれるそうです。本人の人生がかかっているから、曖昧にしない。うちの子は、その言葉がなかった。だから「最低基準はクリアしたと言える」と先生は話してくれました。

ここまでは、素直に嬉しい話です。問題はここからでした。


いい評価でも「決まり」ではない——定員と、事業所の都合

先生は続けて、「ここからは大人の話になるんですが」と前置きした上で、こう説明してくれました。

いい実習をしたからといって、そのまま契約に結びつくわけではない。

理由は主に2つです。

  • 定員の数:事業所が今年度の卒業生を何人受け入れられるかは、その年の空き次第
  • 他の実習生とのかね合い:1つの事業所には、複数の特別支援学校から前期・後期と実習生が来ます。「今年は1人受け入れられる」という枠に対して、複数の希望者がいれば、事業所側の選考がある

どんなに評価が良くても、枠がなければ通えない。逆に言えば、ここから先は本人の頑張りではどうにもならない領域です。先生も「我々ではいかんともしがたいところ」と言っていました。

以前の記事で「選べるのではなく、合うところがあるかどうか」と書きましたが、合うところが見つかったあとにも、もう一段「枠に入れるかどうか」がある。これが今回の面談でいちばん重く受け止めた部分です。
特別支援学校の卒業後、進路で親が一番不安だったこと


通所先が決まるまでの流れ(横浜市・我が家が聞いた範囲)

面談で聞いた、ここから卒業までの流れを時系列で整理します。

1. 前期実習(6月) … 第一志望の事業所で5日間 ← いまここが終わったところ
2. 9月1日 … 後期実習の申し込み解禁。我が家は第二志望の事業所に申し込み予定
3. 秋 … 後期実習(第二志望の事業所で実施)
4. 11月 … 希望の解禁。ここで初めて「第一希望です」と事業所に伝えられる
5. 11月以降 … 第一希望の事業所が検討 → 決定、または厳しければ第二希望の事業所へ打診
6. 決定 … 年内に分かる場合もあれば、事業所によっては2月頃までかかることも

ポイントは4の「11月解禁」です。横浜市の事業所のルールとして、11月にならないと希望を伝えること自体ができません。

しかもこの期間、探りを入れることも一切できないそうです。学校から事業所に「うちの生徒、どうですか」と聞くのもダメ。事業所側が答えるのもダメ。先生いわく「聞いちゃダメなルールなので、聞いたところでもどかしいだけなので、あまり聞かないようにしています」。

つまり実習が良い手応えで終わっても、11月まではどちら側からも動けない。親はただ待つことになります。

※この流れは、我が家が2026年7月時点で学校から聞いた横浜市の運用です。自治体や年度で変わる可能性があるので、必ず通学先の進路担当にご確認ください。


「ダメな時ほど、連絡は早い」

決定が2月までずれ込むこともある、と聞いて、私は思わず「年内に決まった上で年を越したいんですけど」と言ってしまいました。実際、数名は年を越すそうです。

そこで先生が教えてくれたのが、この経験則でした。

「ダメな時ほど、連絡は早いです」

事業所側もこの仕組みをよく分かっているので、受け入れられない場合は早く伝えてくれる。早く分かれば、その分すぐ第二希望に動けるからです。企業の採用で言う「お祈りメール」ほど早く来る、という感覚に近いかもしれません。

だから、連絡が遅いことは、必ずしも悪い知らせではない。むしろ検討が続いているサイン、ということもある。もどかしい期間を過ごす親にとって、この一言は待ち方の支えになりそうです。


面談で聞いた、進路と並行して進める手続き

面談の後半では、通所先の決定と並行して進める手続きの話も出ました。詳細はそれぞれ別記事にしますが、要点だけ。

計画相談(相談支援事業所)
横浜市では卒業までに計画相談の事業所を決めることになっています。先生に「まだ何も動けていない」と相談したところ、「今から動いても全然早いです。決まってから動く方もいるくらい」とのこと。選ぶ基準は、事業者との相性と、家から近いこと(定期的なモニタリング面談があり、本人を連れて行きやすいため)。後期の契約の頃に決まっていれば十分だそうです。我が家は今から探し始めることにしました。

区分認定(障害支援区分)
生活介護の利用には区分認定が必要で、「寝返りできますか」「片足立ちできますか」といった項目を約100個、1時間ほどかけて聞き取る調査があるそうです(区役所か自宅で実施)。あわせて主治医の意見書も必要です。

意見書については、以前「20歳の障害年金のときに主治医に診断書を書いてもらう必要がある」と調べて、主治医に確認済みだったことが、ここで思わぬ形で役立ちました。先生からも「20歳のものが書ける先生なら18歳のものは書けるので大丈夫」と言ってもらえて、この手続きの心配は一つ消えました。
障害のある子の「18歳の壁」。全体マップはこちら


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親として、いま思うこと

面談の帰り道から今日まで、頭の中にあるのは「11月まで、そして決定まで、何もできない」というもどかしさです。

就活なら、内定が出るまで他社も並行して受けられます。でもこの世界では、希望を伝えることすら解禁日があり、水面下で確かめる手段もない。親にできるのは、後期実習でも本人がいつも通りに過ごせるよう体調を整えることと、計画相談のような「自分で動ける手続き」を先に進めることくらいです。

それでも、今回の面談で受け取ったものは大きかったです。評価票という紙の形で、うちの子が初めての社会の場で「必要な能力を持っている」と評価されたこと。「厳しければはっきり言われる。その言葉はなかった」という事実。そして本人が面談の場に約20分座って、自分の話をされていると分かった顔で聞いていたこと。

先生は最後に「キャリアのスキルを身につけてきているなと思います」と言ってくれました。生まれて初めての実習を終えた本人に、いま親が返せる言葉は「よく頑張ったね」だけで十分だと思っています。


まとめ

  • 実習後、事業所から評価票が返ってくる(うちの学校は15項目・S〜D評価)。課題も含めて紙で戻ってくる
  • 採用基準は「その事業所で受け入れられるかどうか」がすべて。厳しい場合は実習時点ではっきり伝えられる
  • ただしいい評価=決定ではない。定員と、複数校から来る実習生とのかね合いという「大人の事情」がある
  • 横浜市では11月にならないと第一希望を伝えられない。それまで学校も事業所も、互いに探りを入れられない
  • 決定は年内とは限らず、2月頃までかかることも。ただし「ダメな時ほど連絡は早い」ので、遅い=悪い知らせではない
  • 待つ間にできることはある:計画相談を探し始める(相性と家からの近さ)、区分認定の準備(約100項目の聞き取り調査+主治医の意見書)

後期実習、11月の希望伝達、そして決定まで。この続きも、決まり次第記録します。


この記事について

  • この記事は2026年7月時点の、我が家の記録です。最終更新日:2026年7月16日。通所先の決まり方・時期・ルールは自治体・年度・学校で変わります。最新・正確な情報は、通学先の進路担当や、お住まいの市区町村の障害福祉窓口で必ずご確認ください。
  • 家族が特定される情報(学校名・事業所名など)はぼかして書いています。制度や手続きについては、身近に行政書士(義理の叔母)がいて相談できる環境で書いていますが、私自身は専門家ではありません。
  • 書き手のプロフィールはこちら → /about/

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【参考リンク(公的機関)】

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この記事を書いた人

重度知的障害・自閉症(愛の手帳A1)の子の義父。再婚で15歳から保護者になり、いま「18歳の壁」——成年後見の申立・生活介護への移行・障害年金の準備を、当事者としてリアルタイムで記録しています。身近に行政書士(義理の叔母)がいて制度を確認しながら執筆。私自身は専門家ではありません。横浜市在住。詳しいプロフィール → https://kazolog.com/about/

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