支援学校の卒業後、うちの子は「生活介護」に通うことになりそうです。その前段として、ある事業所での「体験実習」が決まりました。
実習が始まる前に、施設との事前面談がある——。
私はこの「事前面談」があること自体を、直前まできちんとわかっていませんでした。何を聞かれるのか、何を準備すればいいのか、誰も先回りして教えてはくれません。だから少し身構えて臨んだのですが、その面談で施設の担当者さんが何度も口にしたのが、
「頑張りすぎなくていいですからね」
という言葉でした。これが、親として本当に、かなり安心した。
この記事は、その事前面談の実録です。同じように「これから体験実習」という時期のご家庭の、心の準備の足しになればと思って書きます。
そもそも体験実習って? 面談には誰が来たのか
生活介護の体験実習は、卒業後の通所先を正式に決める前の「お試し」のようなものです。本人が施設に通ってみて、合うかどうかを本人・家庭・学校・施設のみんなで確かめる。だいたい数日間(うちの場合は平日5日間)かけて行います。
事前面談に集まったのは、
- 本人
- 親(私と妻)
- 学校の進路担当の先生
- クラスの担任の先生
- 施設の担当者さん
この6人でした。我が子ひとりの実習のために、これだけの大人が集まってくれる。その事実だけで、少し背中が温かくなったのを覚えています。
「頑張りすぎなくていい」——一番救われた言葉
面談で施設の担当者さんが、繰り返し、本当に何度も伝えてくれたのがこれでした。
「5日間は本人にとって長いんです。暑いし、緊張するし、思っている以上にしんどい環境にポンと入るわけですから。だから、無理のない範囲で大丈夫ですよ」
過去に、頑張りすぎて4日目に体調を崩してしまったお子さんもいたそうです。だから施設も、学校も、親も、「大変だよね」という前提を共有したうえで進めましょう、と。
そして、こうも言ってくれました。
「実習って、できる・できないを見極める場じゃないんです。うちに来てもらって、この子に何が提供できるかを、一緒に考えたい。だから、頑張りすぎなくて大丈夫です」
——この言葉に、私はかなり救われました。
親はどうしても、「ちゃんとできるところを見せなきゃ」「いい印象を持ってもらわなきゃ」と気負ってしまう。本人にもつい「頑張ろうね」と声をかけてしまう。でも、その「もうちょっと、もうちょっと」が、本人にとってはプレッシャーになる。
同世代ばかりだった学校と違って、施設では自分よりずっと年上の人たちの中に入っていく。本人からすれば、想像を絶するストレスだと思います。そこを、施設の側から先に「頑張りすぎなくていい」と言ってもらえた。評価されに行くんじゃない、と思えた。
たぶん、これから体験実習を控えている多くの親御さんが、同じところで気負っているはずです。だから、この言葉はそのまま伝えたくて、この記事を書いています。
わが子の配慮を、こう伝えた
面談では、本人の苦手なことや配慮してほしいことを、家庭から具体的に伝えました。施設も「記載があるかもしれませんが、改めて教えてください」と丁寧に聞いてくれます。うちが伝えたのは、主に3つ。
トイレ
慣れない環境や、退屈だなと感じた時に、失敗してしまうことがある。学校では1時間に1回くらい声をかけて誘導してもらっている、と伝えました。施設でも、休憩のタイミングでトイレに誘導しつつ、付き添いの先生と連携して様子を見てくれることに。
食事のペース
早食いで、かき込んだり丸呑みしたりする傾向がある。昔はつまらせて戻してしまうこともあった(最近はほとんどない)。家では、食事中に水を置くと一気に流し込んでしまうので、食べ終わってから水を出すようにしている——そんな家庭の工夫まで、そのまま共有できました。咀嚼やかじり取りはできるので、刻まず普通食で大丈夫、ということも確認。
水分
自分でこまめに飲むのが難しい。この時期は脱水も怖い。施設では1日3回お茶を出してくれて、足りなければ水筒で補助、という話になりました。
家庭でのやり方を「そのまま受け止めてもらえる」というのは、思った以上に安心するものでした。
準備したもの・当日の流れ(チェックリスト)
「結局、何を持っていけばいいの?」が一番知りたいところだと思うので、面談で確認したことをそのまま書きます。
持ち物
- 上履き(実習期間中は施設に置きっぱなしでOK。付き添いの先生のぶんも同様)
- 予備の着替え/置いておく用 一式(期間中ずっと施設に置いておける)
- 予備の着替え/毎日持っていく用 一式(食事・トイレ・引っ掛けに備えて、毎日新しく)
- 着替えを入れる袋(汚れ物の持ち帰り用)
- 水筒(任意。施設のお茶で足りればなくてもOK)
- 昼食代(最終日にまとめて精算でもOK)
- 服装は動きやすい普段着でOK(制服や改まった格好は不要)
予備の着替えは「いくつかあると安心」とのことで、”置いておく用”と”毎日持っていく用”を分けて用意するイメージです。
1日の流れ
- 10時までに登所 → 10時 作業開始
- 11時 お茶休憩+トイレ誘導
- 12時〜12時半 昼食
- 13時半ごろ 作業再開
- 14時半ごろ お茶休憩
- 16時 一斉に送り出し
その他、面談で決まったこと
- 送迎は車でOK(駐車は施設の案内に従う)
- 実習中の写真撮影は、本人の様子のみ・施設内の振り返り用に限る前提で承諾
- 親の見学は、作業している姿が確実に見られる「中日の午前中」に
- 最終日の午後に「振り返り」の時間がある
施設の理念に触れて感じたこと
見学では、実際の活動も見せてもらいました。簡単な軽作業(シール貼りや封入、リサイクルのための分別など)が中心で、「失敗してOK」「できる人ができる部分をやればいい」「2人で1つの作業でもいい」と、ハードルがとても低く設計されている。
印象的だったのは、地域の農家さんと連携した作業です。野菜の下処理や収穫を手伝い、それが地域の給食につながっていく。「自分のやった仕事が、誰かのご飯になる」——それが本人たちのモチベーションになる、という話でした。
そして担当者さんの、この一言。
「ここは、高校を卒業したらずっと通う場所になります。しんどい場所にずっと、は無理ですから」
「頑張りすぎなくていい」の背景には、こういう考え方があったんだと腑に落ちました。短期で値踏みする場所ではなく、長く付き合う前提で、本人に合う形を一緒に探す場所。
まとめ
事前面談を終えて、いちばん残ったのは「頑張りすぎなくていい」という言葉でした。
これは本人に向けた言葉であると同時に、親に向けた言葉でもあったと思います。気負って、いい顔をさせようとして、つい力が入ってしまう親にこそ、必要な一言だった。
実習はこれから。実際に通ってみてどうだったかは、また続編で書きます。同じ時期を迎えるご家庭の、心の準備の足しになればうれしいです。
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この記事について
- この記事は2026年6月時点の、私個人の体験と気持ちの記録です。最終更新日:2026年6月16日。
- 「生活介護」は障害者総合支援法にもとづくサービスです。対象者や支援内容の制度上の定義は、厚生労働省「障害福祉サービスの内容」もご参照ください。
- 制度・手続きについては、身近に行政書士(義理の叔母)がいて相談できる環境で書いていますが、私自身は専門家ではありません。実際の手続きや支援内容は、各施設・行政窓口や専門家にご確認ください。
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