自分で調べた「18歳までにやることリスト」を行政書士に見てもらったら、4つひっくり返った。——障害のある子の手続き、思い込みと見落としの記録

行政書士相談で18歳までにやることが4つ変わった——印鑑登録・成年後見・手当・銀行口座の実録

うちの子は重度の知的障害と自閉症、愛の手帳A1(最重度)。今年の秋に18歳になります。

この日に向けて、我が家は手続きの計画を作ってきました。「18歳の壁」を時系列で書き出し、成年後見も「やる」と決めて、あとは実行するだけ——のつもりでした。
「18歳の壁」を時系列で全部書き出した記事
我が家が「成年後見」を選ぶまでに迷ったこと

我が家には、相談できる行政書士が身内にいます(義理の叔母です)。先日、事前にA4数枚の資料を作って質問を7つに絞り、90分みっちり相談してきました。

結果、リストの上の方にあった項目が、4つひっくり返りました。

自分なりに調べて、それなりに自信のあった計画です。何がどうひっくり返ったのか、同じ移行期にいる方の照らし合わせ用に、全部書きます。


目次

①「18歳前に印鑑登録」→ 急がなくていい

親のコミュニティで、こういう話を聞いたことはないでしょうか。

「重度知的障害の子は、18歳になる前に親の意思で印鑑登録(実印)を済ませておくべき。18歳を過ぎると本人の意思確認ができず、登録を断られる」

我が家もこれを聞いて、リストのいちばん上に「印鑑登録」を入れていました。誕生日前の駆け込みタスクとして。

行政書士の答えは、「急がなくていい」でした。

  • 昔は未成年なら親の手続きだけで作れた時期もあった。でも今は未成年でも本人の意思確認を求められる運用。つまり「18歳前なら簡単に作れる」の前提が、もう崩れている
  • そもそも実印の出番は限定的。遺産分割協議、不動産、銀行との大きな契約くらいで、日常の福祉手続きには要らない
  • 相続については、親の側が遺言書で遺言執行者を決めておけば、子の実印がなくても手続きが進む形にできる
  • 将来、後見人がつけば契約は後見人がするので、そこでも実印は要らない

「みんなやっているらしいから」で駆け込むところでした。どうしても必要になったときの進め方(先に役所へ相談する、対応してくれた担当者の名前を控える、本人への説明を日頃から積み重ねる)も教わりました。市の運用を自分で裏取りした結果と合わせて、こちらに書きました。
→ 「18歳までに印鑑登録」は急がなくていい。——実印をリストから消した理由


② 成年後見「18歳になったらすぐ」→ 今じゃない

これが一番の衝撃でした。我が家は18歳になったらすぐ家庭裁判所に申し立てるつもりで、書式を取り寄せる直前まで来ていました。

答えは、「急がなくていい。むしろ、今はやらない方がいい」。

理由を並べます。

現行の制度は、一度始めたらやめられない。 本人が亡くなるまで続きます。専門職(弁護士・司法書士など)が後見人に選ばれれば、報酬として月2〜3万円が一生かかる。17歳の子なら、何十年分です。

親が後見人に選ばれるとは限らない。 選ぶのは家庭裁判所で、本人の財産が多いほど専門職が選ばれやすくなる。親が選ばれた場合でも、後見監督人(専門職・報酬あり)がつく可能性がある。

制度そのものが、いま変わろうとしている。 2026年6月に民法の改正が成立しました。後見・保佐・補助の3類型が「補助」に一本化され、必要なことだけを頼み、必要がなくなれば終わらせられる制度に変わります。施行は2028年ごろの見込み。「新しい制度を見てから考えて遅くない」とのことでした。

そして、後見人がいなくて困る場面が、当面ない。 ここが一番の盲点でした。生活介護などの福祉サービスの契約は、実務上、親が代理で進められる運用になっている。「18歳で親の代理権が消える」ことに身構えていましたが、福祉の世界では今も親との関わりで進むことがほとんどだそうです。

教わった目安は「生活介護に移って生活が落ち着いたころ、20代後半あたりで一度検討する。親が後見人をやるつもりなら、親が50代のうち」。

じゃあ我が家は何のために急いでいたのか。振り返ると、「18歳の壁」という言葉の怖さに背中を押されて、「早くやらなきゃ」だけが先行していました。


③ 特別児童扶養手当「所得制限でもらえない」→ 思い込みかもしれない

以前、「共働きで所得制限にかかり、もらえなかった」と書きました。
特別児童扶養手当を、共働きで「もらえなかった」話

相談で指摘されたのは、そこではなく手前の部分でした。我が家は正確には「超えていると自分で計算して、申請しなかった」のです。

「その自己判断が一番もったいない」と言われました。

  • 判定は夫婦の所得を合算しない。それぞれの所得で見る
  • しかも収入そのままではなく、社会保険料相当の控除や障害者控除などを引いた後の所得で限度額と比べる。ここで結構下がる
  • だから「うちは無理」と思っている共働き家庭でも、計算してみたら範囲内、がありえる

結論は「確定申告書を持って窓口へ行き、その場で計算してもらいなさい。悩むより早い」。近いうちに行ってきます。もらえてももらえなくても、結果はここに書きます。

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制度の名前を知らなくても大丈夫。お住まいの市・年齢・手帳を選ぶだけで、当てはまる「可能性のある制度」が一覧で出る無料ツールを作りました(神奈川の横浜・川崎・相模原+国・県に対応/登録不要)。最終的な可否は必ず窓口でご確認ください。

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④ ノーマークだった「銀行口座」が、実は最優先だった

これはリストに入ってすらいませんでした。

18歳の誕生日が来た瞬間から、子どもの口座は「本人しか動かせない」建前になります。

今は子ども名義の口座を親が管理している家庭が大半だと思います。うちもそうです。キャッシュカードで下ろせるうちは表面上困りませんが、カードの磁気不良や再発行、窓口手続きが必要になった瞬間、本人の意思確認ができないと親では手続きができなくなる。

教わった対策はシンプルでした。未成年のうちに「代理人カード」を作っておく。

  • 代理人カード=親(代理人)名義で発行される、本人口座用の2枚目のカード。これがあれば成年後も親がATMで入出金できる
  • 銀行によって対応の厳しさがかなり違うので、取引のある銀行に「未成年の子の口座を親が管理するため」と確認する
  • ゆうちょ銀行は比較的柔軟で、「これから障害年金などを受け取る口座の準備」という文脈なら通りやすい、と教わった

あわせて、恥ずかしながら初めて知った制度がもうひとつ。マル優(障害者等の少額預金の利子非課税制度)。愛の手帳などがあれば、預貯金350万円までの利子が非課税になります。口座を作るときに一緒に申し出るだけ。

誕生日まであと数か月。これは最優先で動きます。実行したら、手順を別記事にします。


ほかに教わったこと(メモ)

4つの逆転のほかにも、持ち帰ったものがあります。

  • 子の口座にお金を貯めすぎない。 成年後は動かせなくなるし、将来後見を申し立てるとき、本人の財産が多いほど親が後見人に選ばれにくくなる。「子のために貯めておく」が裏目に出る
  • 本人のために使ったお金は、ざっくりでいいので出納帳に。 服も散髪も食費も旅行も、本人のお金から出していい。「本人のために使っている」記録が、将来の手続きで効いてくる。通院などの記録も同じで、記録が揃っていると後見申立時の医師の鑑定が省略されることもあるそうです
  • 障害年金(20歳〜)は社会保険労務士の領域。 申請は20歳になってから。多少遅れても遡って請求できるので焦らない。ただし主治医には「20歳のときに診断書をお願いしたい」と早めに伝えておく
  • 相談支援事業所は数が少ない。 卒業後に向けて、夏〜秋には自分から探し始めた方がいい
  • (一般論として)再婚家庭では、養子縁組の有無で子の相続権が変わる。縁組していない親の財産は、そのままでは子に渡らない。対処は親の側の遺言書。我が家も「遺言書」という宿題をもらいました

相談してみて思ったこと

答え合わせをしてみると、自分の調べた内容は8割くらい合っていました。ネットの情報が間違っていたわけではないんです。

間違っていたのは、「うちの場合にどう当てはめるか」の部分でした。そしてその2割が、期限とお金に直結するところに集中していた。

  • 「みんなやっているから」は当てにならない(印鑑登録)
  • 「怖いから早くやる」が正しいとは限らない(成年後見)
  • 「どうせ無理」で申請しないのが一番損(特別児童扶養手当)
  • 本当の期限つきタスクは、誰も教えてくれないところにあった(銀行口座)

身内に行政書士がいるのは、ただの幸運です。いない場合でも、自治体の無料法律相談、行政書士会・司法書士会の相談会、社会福祉協議会など、無料で専門家に当たれる窓口はあります。ざっくりした使い分けも教わりました。書類・信託まわりは行政書士、後見の申立ては司法書士や弁護士、年金は社会保険労務士。全部をひとりで抱える必要はなくて、「計画を一度、専門家の目で見てもらう」だけで、我が家はこれだけ変わりました。

更新した「18歳までにやること」

項目 相談前 相談後
印鑑登録 最優先で駆け込み登録 やらない(必要になったときに検討)
成年後見 18歳になったらすぐ申立て 新制度の施行を見て、20代後半めどに再検討
特別児童扶養手当 所得制限と自己判断して未申請 確定申告書を持って窓口で計算してもらう
銀行口座 ノーマーク 誕生日までに代理人カード=最優先
受給者証・相談支援事業所 学校からの案内待ち 夏〜秋に自分からも動く

それぞれ実行したら、この記録に書き足していきます。


この記事について

  • この記事は2026年7月時点の情報と、行政書士(義理の叔母)に我が家のケースを相談した内容の記録です。最終更新日:2026年7月6日。
  • 手当の所得判定や銀行の対応、後見の要否は家庭ごとに事情が異なります。この記事は「我が家の場合」であり、必ずお住まいの自治体の窓口や専門家にご確認ください。私自身は専門家ではありません。
  • 家族が特定される情報はぼかして書いています。書き手のプロフィールはこちら → /about/

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【参考リンク(公的機関など)】

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この記事を書いた人

重度知的障害・自閉症(愛の手帳A1)の子の義父。再婚で15歳から保護者になり、いま「18歳の壁」——成年後見の申立・生活介護への移行・障害年金の準備を、当事者としてリアルタイムで記録しています。身近に行政書士(義理の叔母)がいて制度を確認しながら執筆。私自身は専門家ではありません。横浜市在住。詳しいプロフィール → https://kazolog.com/about/

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